「【傍に】〜ver.G66〜」 鬼神 銀 様
普段の行動から考えたらとても考えられなかったが

それがあいつなりの優しさだと気がついたのがいつからだ

【傍に】〜ver.G66〜

クルルがいろんな相手に嫌がらせをしていたのはいつものことだった。

何気ない行動に目を向けるようになったのはいつからだ?

あいつが俺のための武器を創るってくれるようになったのはいつからだ?

本人は気が付いていないかもしれないが年相応の笑みを自分にだけ見せてくれたのはいつからだ?



そんなことを挙げていったらきりがない。


そんなある日、いつものようにクルルに武器の調整を頼もうとラボに向かえば、珍しいことに入口が開いていて気配を消して中に入っていくと誰かと話している声が聞こえた。

隠れるように様子を窺うと通信相手は予想外でガルルだった。

会話を聞いて、これが本当の実兄なのかと疑いを持ってしまう程だった。


『まさかと思いますが、我が弟のギロロに手を出したわけではあるまいな』

『あなたは誰からも愛されることはない
       ましてや、誰かを愛することが許されるとでも?
             だから私が、あなたを愛してさしあげるのです』

『あなたは必ず私の元に戻ってくる
       どんなに逃げようとも、クルル  ……』


しばらくして通信が切れた。

俺は動けなくなっていた。


実兄の本性

何も言い返さずただ聞いているだけのクルル


ここに居てはいけないと思い、そそくさと逃げようとしたが

「……すべてお見通しってか。
 逃げることは許されないか……思いはすべて墓場に
       、ギロロ先輩」

時が止まった。
告げられた思い

自分の中で燻っていた思いの答え

その思いに答えたいと思う欲望

クルルを誰にも渡したくない独占欲

相手が実兄であっても…


だが、今はその時ではないと思いそっとその場を後にした。





後日…

いろいろと修理してもらうべきものが増えてしまったため、まとめてラボに持って行った。
クルルはギロロを見ると一瞬とても嬉しそうな顔をしたが一瞬にして泣きそうな苦笑を見せた。

「…よお、先輩どうしたんだ?
 武器の修理か〜くっく〜」
「……なぜ、俺を見て辛そうにする」
「っ!?」
「そんなに俺が嫌いなら、ここには滅多に来ない」

ギロロはクルルがとる行動の理由を知っていたが、ギロロは賭けた。
クルルが自ら助けを求めることを…
そうしたら護衛と言う名目が立ち、兄に手を挙げたとしても大事にはならない。
だが、他者に助けを求めようとしないクルルにたいして賭けでしかなかった。

「く…くっく〜俺はそれでも構わね〜ぜ。
 困るのはオッサンなんだからよ」
「…そいか、じゃ〜な」

無理して笑うクルルに背を向けて歩き出すギロロに

「行っちゃいやだ!!」

ギロロに後ろから飛びついた。
この時初めてクルルの本心を聞けた気がした。
ギロロをなかなか離そうとしないクルルがかすかに震えていて、そっと頭を撫でた。
なんとか向き合う体制が取れると、ギロロは俯くクルルの顔を両手で包み目線を合わせるようにした。
気まずそうにしているクルルだがそんなことを気にせずギロロは言った。

「クルル、俺を選らばないか?」
「な、何言って」
「クルル、俺はお前のことを愛してる。
 お前の何気ない行動や悪戯、そんなことすべてが愛おしく思えた。
 お前を苦しめる者があるなら、そんなものから全て守ってみせる。
 たとえ、相手が実兄であるガルルであっても!!」
「っ!!」

涙が流れた。
愛してもらえていたことえの喜び

ガルルを敵に回してしまうという恐怖

争い合ってほしくない兄弟

クルルは自分が答えを出せば守りたいと思っているギロロを傷つけてしまうし、思いにこたえなくてもギロロを傷つけてしまう。
困惑しているクルルをそっとギロロは抱きしめた。
離れようと暴れるクルルだったが、強く抱きしめられ拘束が取れることはなかった。

「クルル、お前が困惑することも分かっていた。
 それでもお前を愛おしく思い、共に歩んでいきたいと思った。
 二人で歩めば苦しさも半減する。
 少しは俺を頼ってほしい…」
「っ、せ、ん、ぱ、い……っ」

クルルは静かに肩に顔を埋め静かに泣いた。

叶うはずのなかった願いが叶ったことの喜び

これから辛い道のりに引きずりこんでしまったことの謝罪

ガルルの行動の不安

まだまだ、考えるべきことはあるが今はただこの幸せを胸に……

「クルル、愛している」
「先輩、俺も愛してる」

強く強く抱きしめて……一生傍に居続けることをそっと誓う



『いつまでも一緒に』
クルルの話のギロロ視線と後日談です><
物語をシリアスで終わらせるのは自分には無理だ!!とおもったので無理やりhappyendにもっていきました^^;